12 Years a Slave (2013) 邦題:それでも夜は明ける

12 Years a Slave (2013) 邦題:それでも夜は明ける12 Years a Slave (2013) 邦題:それでも夜は明ける

Director: Steve McQueen
Based on “Twelve Years, a Slave” written by Solomon Northup
Casts: Chiwetel Ejiofor, Lupita Nyong’o, Benedict Cumberbatch, Michael Fassbender, Paul Dano, Paul Giamatti, Brad Pitt, Alfre Woodard…

何不自由なく幸せな日々を過ごしていたある日突然、鎖で縛られどこかへ連れて行かれて、「お前は今日から奴隷だ。売られるんだ。」と裸にされ、品定めされたら・・・。

この映画は、奴隷解放宣言以前の19世紀の前半、ニューヨークでバイオリン奏者として家族と幸せに暮らしていた自由黒人、ソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)がアメリカの奴隷制度に巻き込まれていく姿を、ソロモン自身の自伝"12 Years a Slave"を元に描かれている。

私自身はこれまで、講義や歴史本、小説、他の映画で、アメリカの奴隷制について聞いたり読んだり観てきたりしたから、この映画を観ている間は「勉強してきたことの復習」のような感覚だった。19世紀後半を描いているテレビ映画"Queen"なんかは、もっと悲惨に描かれていたから、色んな感情が渦巻いたもん。けれど、この映画は・・・私の視点が以前と変わってきているからかもしれないけど、アメリカの人種問題というよりも「人間の本質」ってこういったもんなんだろうな、なんて思いながら観てた。

結局、視野を広げることができる教育を受けてきた人にとっては、ただ単に人種が違う、色が違うだけで相手を鞭打つなんておもしろくもなんともなく、無駄なだけ。結局は、差別も今流行りの言葉「マウンティング」のようなもので、実力や努力で這い上がることができない人間たちがヒエラルキーの中で、当時の制度で許されている「奴隷制度」を利用して、自分より下と言える人間を打ちのめすことで鬱憤をはらしているようなものなんだろう。segrigation – 人種差別制度が、商業が発展していく北部では禁止となり、第一次産業が主である南部で20世紀後半まで制度として残っていたのも、理解できる。もちろん今でも根深い差別意識が残っているけれど。

この映画の主人公であるソロモンは、親は奴隷経験があったようだけれど、自分自身は南部へ売られるまでは奴隷経験がなかったそうだ。彼はそういう「自由黒人」で「自由」を知っていたからこそ、そうとうの心の葛藤があっただろう。じゃあ、もともと南部で奴隷として生まれ、一生を終えていく人は、どういう感情なんだろう? 正直、私にとって、この映画は「成功者の物語」に見えてしまって、どうしてもソロモンの周りの南部黒人奴隷達に思いを馳せてしまう。ルピタ・ニョンゴ演じるパッツィーにしても、主人に目にかけてもらって、辛い部分も多いだろうけど、「特別扱い」を受けている部分があったのも事実。特別扱いもうけず、鞭を打たれてもただただ淡々と綿摘みしている人たちはどうだろう。

ソロモン・ノーサップは、その後、南部奴隷を助け出す「地下鉄道」を組織したとか、彼が南部に売り飛ばされる発端となった白人2人を相手に裁判しただとか伝えられてはいるものの、彼が自伝で書いている以降の彼の人生については諸説あって、確かなことは今現在では分かっていないらしい。

ブラッド・ピットブラッドピット カリフォルニアがプロデューサーの一人で、どうしても彼はこの物語を映画化したかったそう。きっと彼は、アメリカの奴隷制度を描く物語を映画化することによって、アメリカ国内だけでなく、様々な世界で様々な人間に「人間とは」と問いたかったんだろう。ただ、ブラッド・ピットの役柄は、取ってつけた感があって、リアリティに欠けちゃうよね。。。台詞も、ちょっと大げさで。まぁ、彼にはそれが似合うからいいとする!

"Kinky Boots"のキウェテル・イジョフォー、ルピタ・ニョンゴ両人の演技は、大げさでなく、こちらをすっと映画に引き込んでくれる。ポール・ジアマッティベネディクト・カンバーバッチベネディクト・カンバーバッチ 8月の家族たちアルフレ・ウッダードアルフレ・ウッダード クルックリン・・・私の気になる俳優陣が脇を締めていたのも、ウレシイ。

黒人監督だからこそ撮れた映画だろうか。でもスティーヴ・マックィーンスティーヴ・マックィーン監督は、英国育ちだしな。でも映像もキレイに取られていて・・・キレイすぎる感はあるけれど。

2014年11月掲載